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倉敷から夢、発信「倉敷人」シリーズ6 岡本直樹

For you with Kurashiki

倉敷市中心部を描いた鳥瞰絵図―。  見る者の心をとらえるのは、緻密な描写の中に息づく、あたたかく愛おしい人々の営み。

街路樹が色づく晩秋の一日。倉敷美観地区の入り口近くにある倉敷物語館を訪れた。待ち合わせたのは倉敷を拠点に活動する、画家でイラストレーターの岡本直樹さん。アイソメトリックという投影法を使った、都市を描く鳥瞰絵図制作の第一人者だ。

白江戸中期の風情を今に伝える倉敷物語館

ここ倉敷物語館に展示されるのは、代表作のひとつである倉敷市中心部を描いた2枚の鳥瞰絵図。1963年(昭和38年)と2005年(平成17年)という新旧の町並みを描いた鳥瞰絵図は、圧倒的な細やかさと、生活感あふれる描写で見る者を引き込む。

オリジナルは500分の1のスケールで、2m×2mの中に倉敷市中心部1km四方を網羅したというだけあり、極めて緻密な仕上がりが特徴。大きな建造物はもちろん、小さな民家、バスや車、通りを行き交う人物の姿までが細やかに再現され、人々の温かな生活の営みが伝わってくるようだ(※現在の展示はスペースの都合で1000分の1版です)。

倉敷鳥瞰絵図のダイジェスト版

倉敷物語館を初め、倉敷アイビースクエアなど近隣の観光施設で販売される倉敷鳥瞰絵図のダイジェスト版。倉敷観光の思い出として人気が高い。

「昔の写真が多く残っていたほか、当時を知る方の話も丹念に取材しました。もちろん私自身が中学生の頃の風景ですから、目で見、肌で感じた倉敷の町並みが再現できたと思います」。 そう語る岡本さんが鳥瞰絵図を描こうと思ったのは、変わりゆく故郷の姿を、今、残しておく必要に駆られたからだという。

高校卒業後、アメリカ・フランスで画家修行の後、関東で活動していた岡本さん。帰省の度に昔の面影が薄れてゆく故郷の町並みを鳥瞰絵図に残そうと、制作に着手したのは2002年。以降、四年半の歳月をかけて2005年版を、さらに四年の歳月をかけて1963年版を仕上げた。

「絵図を指差しながら会話を弾ませる方々の姿を見ると、本当に描いて良かったと思います」と、頬をゆるめる岡本さん。50年の歳月を物語る作品には、故郷への愛情が満ち溢れていた。

History

作品
  • 昭和24年 倉敷市生まれ
  • 高校卒業後、渡米して絵画を学ぶ。
  • その後渡仏してパリ国立美術大学で学んだのち、
  • 昭和53年帰国。関東を拠点に活動。
  • 平成14年倉敷に戻り、故郷の景観を残すため鳥瞰絵図の制作に着手。
  • 倉敷バーズアイ1/500(2006)のほか、
  • 備中町平川昭和絵図1/500(2008)など精力的に作品を発表。
  • 今秋、金光学園鳥瞰絵図を完成させる。
  • 絵画教室も主宰。

岡本直樹/工房
倉敷市阿知2-16-11 Tel&Fax.086-425-6399

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