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倉敷から夢、発信「倉敷人」シリーズ1 水口智貴

For you with Kurashiki

意のままにならないからこそ魅力がある―。 水口氏の言葉に宿る揺るぎのない美学。 困難な作品、野心的なオブジェを目指して、あくなき挑戦は、未来へと続く。

外気が35度を超えようかという猛暑日の午後、倉敷市広江にあるガラス工房を訪れた。
一気に噴き出す汗。
真っ赤に燃える炉の中から出てくる灼熱の空気の塊に、一瞬たじろいだ。

玉のような汗を拭きながら笑顔で迎えてくれたのは水口智貴さん。
学生時代を含めるとキャリア14年。
倉敷を拠点に活動する新進気鋭のガラス作家だ。

吹きガラス工房 ぐらすたTOMO

倉敷芸術科学大学工芸学科のガラスコースで学んだのち、赤澤清和氏に師事。
助手として技術を磨いて2007年に独立。
自らの工房『吹きガラス工房 ぐらすたTOMO』を設立してから6年目になる。

もとは出身地の愛媛県で画家を夢見た時期もあったが、高校生のときに出会った吹きガラスに魅せられ、ガラスの学べる倉敷芸術科学大学からプロの作家へと着実に道を歩んできた。

「銀熔変」と呼ぶ独特な紋様が入った『ぐい飲み』

水口さんが「銀熔変」と呼ぶ独特な紋様が入った『ぐい飲み』。
変化に富んだ光沢感が吹きガラス作品の魅力だ

独創的な作風で知られ、自らが「銀熔変」と名付けた紋様と、銀の配合によって生み出される美しいブルーのガラス陶器で高い評価を受ける。

岡山県美術展覧会やビアマグランカイなどに数々の入選歴を持つほか、県内外での個展・グループ展活動も精力的に行い、今もっとも注目を浴びる若手作家の一人だ。

また「多くの方へガラスの魅力を伝えたい」との思いから取り組む『ガラス体験・拭きガラス講座』には県内外から多数の参加者が集い、来店二十回を超えるリピーターもいるとか。

「ここで十年以上過ごしましたが、私には自慢の町。昔の文化を大切にしている場所です」と、倉敷への愛着もひとしお。
今後は倉敷を「ガラスの町」として知っていただくこともひとつの目標で、同じ志を持つ若手作家との切磋琢磨にも意欲的だ。

この日も県外から訪れた家族連れと楽しく作品づくりに取り組みながら、子どもたちの笑顔に囲まれていた水口さん。
夢多きガラス作家が、文化の町倉敷に新たな風を吹かせている。

History

作品
  • 1981年 愛媛県生まれ
  • 2000年 倉敷芸術科学大学ガラスコース入学
  • 2002年 金津創作の森夏のワークショップ参加
  • 2004年 赤澤清和氏に師事
  • 2005年 赤澤清和氏急逝 赤澤グラススタジオを引き継ぐ
  • 2007年 倉敷市広江に吹きガラス工房「ぐらすたTOMO」設立
  • 2013年12月には「湯郷温泉アートプロジェクト・ガラスのクリスマス」に出品予定(3回目)

吹きガラス工房 ぐらすたTOMO
倉敷市広江2-13-33 Tel.080-1945-6046
※作品は「食器のみつはた」にて展示即売しております。

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