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倉敷から夢、発信「倉敷人」シリーズ9 三宅玄祐

For you with Kurashiki

土だからこそ出来る表現で、 インパクトのある作品を―。 陶器の可能性を追求しながら、 その作品世界は無限に広がる。

厳しい猛暑の続いた八月の初旬。加須山の静かな住宅街の一角にあるアトリエを訪ねた。ここで絵付けに没頭するのは陶芸家の三宅玄祐さん。オブジェから日常使いの陶器まで幅広い作品群を創作するが、極めてユニークな発想と作風で知られる。

心地良い時間が流れるゆったりしたアトリエ

代表作のひとつが「変化の断片」シリーズ。三宅さんのモチーフのひとつである「時間の経過」を表現した作品は、構築物が何百年という時の中で風化し、変化していく様を表現したもの。まるで化石のように、見る者に強烈な“何か”を訴えかけてくるようだ

【タイトル/変化の断片】

「変化の断片」と名付けられた、化石や遺跡を思わせる作品。色や質感が変わっていったり、塗装が剥がれたりする様を「時間の経過」として切り取った、三宅さんの代表作のひとつ。

「ほかにも、電気製品の包装材をベースに作った作品もあります。本来は捨てられるものを、もう一度使えないかと考えました。リプロダクト/再構築と名付けています(表紙の作品)」。いずれも一般的な陶器のイメージとはかけ離れた作風ではあるが、三宅さん曰く「土だからこそ出来る表現にこだわりたい。

とそれも斬新かつ面白いものを」と、独自の世界観を追求し続ける姿に揺るぎはない。 さらに、この作風は日常使いの陶器にもおよび「使いにくさも面白さ」と、縁が割れたような食器などのユニークな造形にも三宅さんらしさが溢れる。「器に求めるのは“佇まい”や“存在感”。それは作り手の思いの先にきっと湧き出てくる」と、自然体こそが流儀だと口にする。さて、二十代後半から始めた陶芸のキャリアもベテランの域に差し掛かり、今後の課題のひとつに「倉敷の作家の活動が活性化される道づくり」を挙げた三宅さん。「Made in Kurashiki inくらしき」という、倉敷を拠点に活動する作家の作品展が4回目を迎えるなど、確かな手応えを感じ始めているところだ。 「みんな創作意欲は旺盛。もっと盛り上げたいね」と、自らの創作に加え、若手や後進を思う言葉にも力がみなぎった。

History

作品
  • 1953年生まれ。倉敷市出身。
  • 市内の高校を卒業後、理工系の大学に進学。卒業後に帰郷。
  • 製氷業を営む家業の関連企業に就職するいっぽう、友人の影響で陶芸を始める。
  • 三十代後半に作陶を生業とすることを決意し、以降、創作活動と陶芸教室の運営に専心。
  • 地元倉敷のほか、全国でも個展を開催し、その独創的な作風から人気を博す。昆虫や箸置きなど、ここ数年の作品群にも注目したい。

CLAY STUDIO GENN(自宅兼アトリエ) 
倉敷市加須山489-3 Tel&Fax.086-428-3309

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