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みつはたの「日本焼き物名産地巡り」第12回

九谷焼
「豪華絢爛な彩りの世界~五彩の美、九谷の個性~」
デザイン編

 

 

器の中に、まるで一枚の絵画が広がっている。
鮮やかな赤、深みのある緑、明るい黄、艶やかな紫、そして落ち着きを感じさせる紺青。
ひとつひとつの色が響き合い、花や鳥、山水、人物などの美しい文様を引き立てています。九谷焼を目にしたとき、思わず惹きつけられるのは、その華やかな色彩と大胆な絵付けではないでしょうか。

「九谷五彩」と呼ばれる五色を中心に、器の中に描かれるさまざまな世界。そこには、古九谷から現代へと受け継がれてきた、九谷焼ならではの豊かな個性があります。
今回は、色彩の美しさから、個性豊かな六つの画風、そして現代へと広がる新しい表現まで、九谷焼を彩る美の世界をご紹介します。

 

九谷焼の華やかなデザインを語るうえで欠かせないのが、「九谷五彩」と呼ばれる色彩です。

赤・緑・黄・紫・紺青の五色を中心とした和絵具は、鮮やかさの中にも深みがあり、九谷焼ならではの豊かな表情を生み出します。これらの色を大胆に組み合わせることで、器の上に一枚の絵画のような世界が広がります。色の組み合わせや配置にも、九谷焼ならではの美意識が感じられます。また、九谷焼にはさまざまな画風があり、それぞれ異なる色使いや表現が楽しめます。

ここからは、九谷焼を代表する六つの画風に注目し、それぞれのデザインの魅力を見ていきましょう。

 

 

古九谷(こくたに)――大胆な構図と、力強い五彩

九谷焼を代表する画風のひとつが「古九谷」です。
九谷五彩を用いた大胆で絵画的な表現が特徴で、青(緑)・黄・赤・紫・紺青の色彩で花鳥や山水などをのびやかに描きます。
細部を緻密に描き込むというよりも、力強い線と大きな構図でモチーフの存在感を際立たせているのが魅力です。また、赤を使わず、緑・黄・紫・紺青などを中心に器全体を色で埋める「青手」と呼ばれる表現もあります。

写真:再興九谷の中でも最も名高い吉田屋窯の「色絵椿柳宿禽図八角鉢(いろえつばきやなぎしゅっきんずはっかくはち)」  出典:ColBase

 

 

木米(もくべえ)――赤を基調にした異国情緒

「木米」は、赤を基調に人物を中心とした中国風の絵柄が特徴です。全面に赤をほどこし、人物を主に五彩を使って描き込むことで、古九谷とは異なる華やかさを生み出しています。人物の表情や衣装は細かく描かれ、中国風の上絵を思わせる異国情緒が漂います。
赤を背景にすることで、緑・黄・紫・紺青がアクセントとなり、全体に華やかなまとまりが生まれます。

写真:木米が好み得意とした呉州赤絵で描かれた「色絵龍文五角鉢」(いろえりゅうもんごかくばち)  出典:ColBase

 

 

吉田屋(よしだや)――重厚な色彩で器を埋め尽くす

「吉田屋」は青手古九谷を受け継いだ画風で、赤を使わず青(緑)・黄・紫・紺青の四彩で構成されます。落ち着いた重厚な色調と、器全体を埋め尽くすような緻密な文様が特徴です。
花鳥や草花、山水などを細かく描き込み、近くでは細部の美しさ、離れては色彩のまとまりによる重厚な美しさを楽しめます。

写真:色絵山水図大平鉢(いろえさんすいずおおひらばち)  出典:ColBase

 

 

飯田屋(いいだや)――赤で描き尽くす細密な世界

「飯田屋」は、赤を基調とした細密な描写が特徴です。
人物を赤で緻密に描き、小紋などの文様で器全体を埋め尽くし、所々に金彩を加えます。その繊細さから「九谷赤絵」とも呼ばれ、九谷焼の中でも特に細やかな表現が際立つ画風です。
一見赤一色に見える中にも、細かな線や文様が幾重にも重なり、緊張感のある美しさを生み出しています。古九谷の大胆さとは対照的に、細部までじっくり楽しめるのが飯田屋の魅力です。

写真:緻密な赤絵金彩の絵付けが特徴の「赤絵猪文稜花鉢」(あかえいのししもんりょうかはち)  出典:ColBase

 

 

永楽(えいらく)――赤と金が生み出す華やかさ

「永楽」は、赤と金を中心とした豪華なデザインが特徴です。
器全体を赤で彩り、その上に金で文様を描くことで、華やかで格調高い雰囲気を生み出します。九谷焼の中でも特にきらびやかで、京焼の流れを感じさせる上品さも併せ持つ画風です。

写真:金襴手を得意とした永楽和全の作品「色絵金襴手龍文大皿(いろえきんらんでりゅうもんおおざら)」  出典:ColBase

 

 

庄三(しょうざ)――さまざまな美を一つにした絢爛豪華な世界

「庄三」は、古九谷・吉田屋・赤絵・金襴手などを取り入れた華やかで複雑な画風です。
器を区画に分けて異なる文様や色彩を配する「間取り方式」により、全体を一つの華やかな世界に仕上げます。和絵具と洋絵具による豊かな色彩も加わり、細部まで描き込まれた、色彩豊かで豪華な作品へと仕上がります。
さまざまな画風を融合した庄三は、九谷焼の華やかさを象徴する存在です。

写真:「色絵雲龍花鳥図盃洗(いろえうんりゅうかちょうずはいせん)」  出典:ColBase

 

 

「九谷五彩」という共通する色彩がありながら、その使い方によって作品の印象は大きく変わります。
九谷焼のデザインを見ていると、「大胆」と「繊細」という、一見相反する魅力が共存していることに気づきます。器いっぱいに鮮やかな色彩を広げる大胆な構図がある一方で、人物の表情や衣装、小紋などを細かな線で描き込む繊細な表現もあります。色彩の重なりや文様の細やかさなど、目を向けるところによって異なる表情を見せてくれるのも、九谷焼の魅力です。

遠くから見ても華やか。
近くで見ても面白い。

そんな「二つの楽しみ方」ができることも、九谷焼のデザインの大きな魅力です。

 

写真:現代の九谷焼

 

伝統的な彩りを受け継ぎながら、現代の九谷焼はさらに表現の幅を広げています。九谷五彩や伝統的な文様を生かしながら、北欧風やモダンなデザインなど、現代の暮らしに寄り添う新しい表現も生まれています。
華やかな色彩を楽しむ器から、日常の食卓になじむ器まで、その表現は幅広く広がっています。伝統を受け継ぎながらも、新しい感性を取り入れて変化していく。そこにも、現代の九谷焼ならではの魅力があります。

 

九谷焼を手に取る機会があれば、ぜひ「何色が使われているか」だけでなく、「どの色が主役になっているのか」「どこに目を引かれるのか」にも注目してみてください。
知れば知るほど、その華やかな彩りの奥にある、九谷焼の豊かな個性。
それもまた、九谷焼を眺め、使う楽しさのひとつではないでしょうか。

 

 

 

今回ご紹介する「九谷焼」のオススメ商品

丸小皿「市松松竹梅」 
直径9.5cm×高さ1.7cm
1,200円(税別・2026年9月18日現在の価格)

 

緑を基調にした日常づかいの小皿。
「市松」も「松竹梅」も縁起の良い吉祥文様で、組み合わさることで、「途切れることのない幸福や繁栄」を意味するようになります。
現代の食卓にも合うように、カジュアルな雰囲気もあり、食卓を華やかにしてくれます。

 

 

 

花瓶「金箔 竹雀」
口径4 cm× 高さ27cm
35,000円(税別・2026年9月18日現在の価格)

 

竹の間を二羽の雀が仲良く飛ぶ姿が縁起がいい花瓶。
「竹」と「雀」の組み合わせは、「子孫繁栄・家内安全・五穀豊穣」などを意味し、とても縁起が良い。
陶器のザラザラとした質感に金箔を貼り、上品さと渋みが一層増しています。こちらは、一枚の日本画になったような花瓶です。

 

 

 

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みつはたの「日本焼き物名産地巡り」第11回

美濃焼
「日本最大の陶器生産地~多様性の中に宿る美濃焼の魅力~」
デザイン編

 

日本を代表する焼き物のひとつ「美濃焼」。
岐阜県東濃地方で生産される美濃焼は、日本国内の陶磁器生産量の約半数を占める、日本最大の陶器生産地として知られています。
美濃焼の魅力は、多彩なデザインにあります。代表的なものに志野、織部、黄瀬戸、瀬戸黒などがあり、それぞれが異なる表情と個性を持っています。
長い歴史の中で育まれたこれらの様式は、現代まで受け継がれ、それぞれが美濃焼を代表するデザインとして多くの人々に親しまれています。
今回は、美濃焼を代表するデザインと、その魅力をご紹介します。

 

 

美濃焼を彩る4つの代表的な様式

■    志野
桃山時代に誕生した志野は、日本で初めて白い長石釉(ちょうせきゆう)を使用した焼き物として知られています。
厚みのある乳白色の釉薬がつくる柔らかな風合いは、一つとして同じものがありません。焼成によって現れる赤みや小さな気泡、自然な景色が器の表情となり、素朴で温かみのある美しさを感じさせます。
白を基調としたやさしい色合いと、自然が生み出す豊かな表情は、志野ならではの魅力として現在も高く評価されています。

写真:志野茶碗 銘 振袖(しのちゃわん ふりそで) 出典:ColBase

 

 

■    織部
美濃焼を代表するデザインとして最も知られているのが織部です。
深みのある緑色の釉薬と大胆な模様、あえて左右非対称に作られた形状など、自由な発想から生まれた個性的なデザインが特徴です。
当時の茶人・古田織部の美意識を反映したともいわれ、従来の焼き物の概念を覆す斬新な器として人気を集めました。

写真:織部扇形蓋物(おりべおうぎがたふたもの) 出典:ColBase

 

 

■    黄瀬戸
黄瀬戸は、その名の通り、やさしい黄色味を帯びた温かみのある色合いが特徴です。
すっきりとした上品な器の形に、黄褐色へと発色する灰釉(かいゆう)が施され、刻線や印花(いんか)などの繊細な文様があしらわれるものも多く見られます。
控えめな色彩の中にも繊細な意匠が息づき、素朴さと気品を兼ね備えた美しさが黄瀬戸の大きな魅力です。

写真:黄瀬戸鉢(きせとはち) 出典:ColBase

 

 

■    瀬戸黒
瀬戸黒は、美しい漆黒の色合いが魅力の焼き物です。
焼き上がった器を高温のまま窯から取り出し、一気に冷却する「引出黒」と呼ばれる技法によって、深みのある黒色が生み出されます。
器は歪みの少ない端正な円筒形(半筒形)を基本とし、口縁部にはゆるやかな起伏が施されるなど、落ち着きのある端正なフォルムも特徴です。
漆黒の艶やかな質感と洗練された器形が調和し、力強さと気品を兼ね備えた美しさを感じさせます。

写真:瀬戸黒茶碗(せとぐろちゃわん) 出典:ColBase

 

 

受け継がれる多彩な美-
美濃焼には、志野のやわらかな風合い、織部の大胆な意匠、黄瀬戸の上品な趣、瀬戸黒の力強い美しさなど、それぞれに異なる魅力があります。
時代ごとの美意識や技術を取り入れながら、多彩な様式を育んできたことこそ、美濃焼ならではの魅力です。

 

長い歴史の中で磨かれた職人の技と美意識は、今もなお新たな表現へと受け継がれています。ひとつの産地でありながら、多様な表情を見せる美濃焼。その奥深い魅力を、これからも感じていただければ幸いです。

 

 

 

 

今回ご紹介する「美濃焼」のオススメ商品

向付 織部割竹

幅22.5 cm × 奥行9.5 cm × 高さ4cm
4,000円(税別・2026年7月28日 現在の価格)

 

深みのある濃い緑色が美しい織部。
一人前ずつ刺身を盛り付けるもよし、漬物鉢にしたり、

二品盛ほどの器としてもオススメです。
織部の色が、一層食材を引き立ててくれます。

 

 

小抹茶 黄瀬戸  
口径10.5 cm × 高さ7cm
1,700円(税別・2026年7月28日 現在の価格)

 

はんなりと温かみのある色が特徴的な黄瀬戸の抹茶碗。
少し小ぶりサイズなので、お子様用や、ご家庭で気軽に楽しまれる方にオススメです。

 

 

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みつはたの「日本焼き物名産地巡り」第10回

信楽焼「素朴で力強い土の芸術 ~たぬきだけじゃない!信楽焼の深み~ 」デザイン編

 

滋賀・信楽の地で育まれてきた信楽焼は、素朴で親しみやすい焼き物として知られています。信楽焼といえば愛らしいたぬきの置物を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、その本質的な魅力は、さらに奥深いところにあります。
土そのものの表情、炎が生み出す偶然の景色、そして不完全さの中に美を見出す感性――信楽焼のデザインには、日本人が古くから大切にしてきた美意識が息づいています。
今回は、信楽焼の特徴や魅力をデザインの視点からご紹介します。

 

 

信楽焼の大きな特徴のひとつが、土の風合いを生かしたデザインです。信楽の土には長石などの粒子が多く含まれており、焼き上げると表面に小さな白い粒が浮かび上がります。ざらりとした手触りや自然な凹凸が、器に豊かで味わい深い表情を生み出します。
土の個性を隠さず、そのまま器の魅力として見せる――そこに、信楽焼ならではの素朴で力強い美しさがあります。

 

さらに、窯の火が直接当たることで器の表面が赤く発色する「緋色(ひいろ)」も、信楽焼を象徴する表現です。白みを帯びた信楽の土に、ほのかな赤や赤褐色がにじむ姿は、どこか人肌のような温かみを感じさせます。火の強さ、薪の組み方、その日の湿度や風の具合までが影響し、同じ色合いは二度と生まれません。人の手だけでは制御できない変化を受け入れ、その偶然を美として楽しむ感覚は、まさに信楽焼の真髄と言えるでしょう。

 

写真:粗い土の粒子感をそのまま生かした表情豊かな土肌と、焼成によって生まれたあたたかな緋色が印象的

 

また、信楽焼の魅力を語るうえで欠かせないのが、炎と灰がもたらす自然の色彩です。薪窯で焼かれた器には、窯の中で燃えた灰が降り積もり、土に含まれる成分と溶け合って青緑色や黄緑色のガラス質へと変化します。これが「自然釉(ビードロ釉)」です。釉薬を人の手で塗るのではなく、炎の流れや灰の積もり方によって偶然生まれるため、同じ景色は二つとありません。

 

写真:薪窯で焼成する際に降り積もった灰が高温で溶け、器の表面に青緑色のガラス質となって現れる「ビードロ釉」

 

信楽焼には、完璧に整えられた美しさとは異なる魅力があります。少し歪んだ形、偶然に生まれた色むら、ざらりとした土肌――そうした不均一さの中にこそ、豊かさや温もりが感じられます。こうした趣は、日本の伝統的な美意識である「わびさび」にも通じるものがあるのかもしれません。華やかさではなく、静けさや余白、自然体の美しさを楽しむ心もまた、信楽焼の魅力のひとつと言えるでしょう。

 

写真:信楽焼の登り窯

 

近年では、伝統的な焼き締めや灰釉だけでなく、さまざまな色釉を用いた新しい表現も増えています。モダンなフォルム、鮮やかな色彩、洗練されたミニマルデザインなど、従来の“素朴な信楽焼”のイメージを超える作品も多く生まれています。それでも根底にあるのは、土の魅力を大切にし、自然とともに焼き上げるという精神です。

 

何気なく手にした器にも、土と炎、職人の手仕事、そして自然が生み出した唯一無二の表情が宿っています。形の面白さや色合いの深さに目を向けてみると、信楽焼の奥深い世界が見えてくることでしょう。

 

 

 

今回ご紹介する「信楽焼」のオススメ商品

むかえる(口あき) 5号

幅15 cm× 奥行13 cm× 高さ23cm
4,000円(税別・2026年5月19日 現在の価格)

 

親カエルと子ガエル5匹が楽しく歌をうたっているような、可愛い置物。
土そのものの質感が感じられるような、ざらりとした手触りです。
カエルは6匹揃って玄関に置くと、「お客さまをむかえる(六カエル)」と言って縁起がよく、他にも「無事にかえる」などの意味もあり。
お部屋、玄関、庭などに飾って癒されてください。

 

 

 

長花瓶 「回廊」 白練

幅10.5 cm× 奥行10.5 cm× 高さ23cm
6,000円(税別・2026年5月19日 現在の価格)

 

和花・洋花のどちらにも合わせやすいオブジェのような花瓶。
野の花や葉ものだけでもオシャレに飾れて、花と過ごす時間がより楽しく、心和むものになるでしょう。
マットでざらりとした優しい手触りで、背伸びをしない日常向きの花瓶です。

 

 

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みつはたの「日本焼き物名産地巡り」第9回

清水焼「京の都が育んだ繊細な美〜京焼・清水焼の優雅な美〜」デザイン編

京都で育まれた京焼・清水焼は、特定の様式にとらわれることなく、多様な技術と美意識を取り込みながら発展してきた焼き物です。優雅で洗練された佇まいの中に、自由な発想と手仕事の文化が息づいています。

 

京焼・清水焼の最大の特徴は、原料や技法がひとつに定まっていない点にあります。日本各地の陶磁文化や東アジアの意匠も積極的に取り入れ、多様な土や釉薬、装飾表現を融合させてきました。

 

京都の陶工たちはまず国内外の名品を写し、造形や装飾技術を学び取り、そこへ独自の工夫を重ねて新しい様式へと発展させました。京焼・清水焼は単なる一産地の焼き物ではなく、さまざまな文化が重なって成立した「総合的な陶磁器文化」と言えるでしょう。

 

こうした流れの中で、デザイン面に大きな影響を与えたのが、歴史編でもご紹介した陶工の野々村仁清と、その流れを受け継いだ尾形乾山です。
仁清が確立した色絵は、白釉の素地に赤・青・緑・黄などの色釉を用い、さらに金銀で文様を描く技法で、京都らしい優美で華やかな表現を完成させました。また、ろくろ技術にも優れ、茶壺や茶碗に見られる柔らかな膨らみを持つフォルムは、多くの公家や茶人たちに愛されたと伝えられています。

 

写真左:胴を卵形とし、口縁を外に開く珍しい形の茶碗「色絵紅葉賀図茶碗(いろえもみじがずちゃわん)」
写真右:仁清の色絵水指の代表作「色絵牡丹図水指(いろえぼたんずみずさし)」*出典:ColBase

 

一方の乾山は、兄・の影響も受けながら、絵付け・書・画賛を巧みに組み合わせ、器を一つの絵画作品のように構成しました。角皿に掛け軸のような表現を取り入れるなどして、新しい意匠を生み出し、鉄釉で描く錆絵は、黒褐色の線によって水墨画のような渋い味わいと温かみを生み出しています。
繊細な絵付け、優雅な造形、新しい表現が自然に共存する点は、文化が交わる京都という土地を映しているかのようです。

 

写真:中国宋代の詩人黄山谷が鷗をながめる様子を光琳が軽妙な筆致で描き、裏は乾山が銘文を記しています。 銹絵観鷗図角皿(さびえかんおうずかくざら)*出典:ColBase

 

自由な発想と多彩な表現を許容してきた京焼・清水焼ですが、その根底には変わらず守られてきたものがあります。それは、成形も絵付けも基本はすべて手作業で行うという姿勢です。今も職人が一つひとつ手で形をつくり、筆で絵を描いて仕上げています。同じ意匠でも微妙に異なる表情が生まれ、その違いが温もりとなり、使うほどに愛着が深まっていきます。そこにこそ、京焼・清水焼の本質的な価値があります。

 

 

茶道具や格式ある食器から、日常使いの器、花器、置物、さらには鑑賞作品まで幅広く制作されている京焼・清水焼。
料理を引き立てる器として、暮らしを彩る道具として、あるいは芸術として眺めて楽しむ存在として…生活と美術を自然につなぐ焼き物としてあり続けています。

 

お店で手に取る一つひとつの器にも、長い歴史の中で培われた技術と美意識、そして手仕事へのこだわりが静かに息づいています。形や絵柄の美しさだけでなく、その背景にある文化にも思いを巡らせてみると、京焼・清水焼の魅力をより深く感じていただけることでしょう。

 

 

 

今回ご紹介する「京焼・清水焼」のオススメ商品

抹茶碗 「桜流水」(香菊窯)
口径12.3cm × 高さ 8.2cm
12,000円(税別・2026年3月6日 現在の価格)

 

ゆったりとした水の流れに枝垂れかかる桜が美しい抹茶碗。
桜は「精神の美」「優美な女性」という花言葉があります。
流水模様は、絶えず流れる水の様子を表現した伝統模様で、「清らかさ」「永遠・無限」といった意味が込められています。
内側のフチにも桜と流水が描かれており、華やかさが一層増しています。

 

 

雲錦貝模様 花生(坂田瑠璃作)
口径 2 cm×10.5cm(最大幅)× 高さ 16cm
35,000円(税別・2026年3月6日 現在の価格)

 

たまご型の丸みある形に、ぎっしりと描かれた模様が美しい花生。
雲錦とは、満開の桜(白雲)と紅葉(錦)を組み合わせた日本の伝統的な文様で、春と秋の風情を同時に楽しむ「四季」を愛でる意匠として一年中お使いいただけます。また、貝は夫婦円満、開運、長寿の縁起物として親しまれています。
花生のみで飾るのにオススメです。

 

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