日々の生活の中で、子どもの心は常に成長を続けています。
豊かな心を育むために親ができることは何か。子どもをよく見ている保育園の先生にお話をお聞きしました。
どうしたら向上心(やる気)のある子どもが育ちますか?
子どもの個性を“認めてあげること”がとにかく大切。
〝子どもの心を育てる〟という言葉を最近よく耳にしますが、〝心〟とはそもそも身体のどこにあるのでしょうか? 悲しいと痛む胸の中でしょうか? それは脳の中の「前頭葉」が感情を司っていると、脳科学の世界では言われています。やる気や意欲、社会性の発育に大きく影響する「前頭葉」の発達は、保育の世界でも特に重要視されています。
では、どうすれば発達を促すことができるか。答えは〝褒めて育てること〟。幼児期にしっかりと褒められて育った子は自己肯定感が強く、意欲的で社会性が発達した子に成長します。逆に叱られてばかりで育った子は、自信が無く、やる気の低い子へと成長する傾向にあります。
このような話をすると、「そんなに褒めることが見当たらない」という親御さんが多々います。そんな方には、〝褒める〟=〝認める〟と置き換えてくださいと、アドバイスをしています。例えば保育園に毎日通園すること。大人からすれば当たり前のことで〝褒める〟対象ではありませんが、〝認める〟に視点を変えると、朝起きて、準備して、迎えの時間まで集団のルールに従って生活する…。小さな子にとって決して当たり前ではなく、十分褒めるに値することだと気付きます。
「今日も頑張ったね」と声をかけ、その日の出来事に耳を傾けてあげてください。しっかりと自分の子を認め、子どもの一番の理解者になってあげてください。
保育園での取り組み
当園では、子ども一人ひとりのリズムに合わせた保育を行っています。各家庭によって食事の時間、昼寝の時間は異なります。幼い子にとって、そうした生活の基本的なリズムが変わることは大変なこと。大人の都合やルールで、我慢を強いることではないとの方針から、昼食時間は、11時、11時30分、12時の3つのグループに分けています。家庭と同じリズムで生活できることで、子どもは安心して通園することができます。
3歳からは、特に「遊び」に力を注いでいます。月替わりのテーマを設け、学習に繋げる工夫を施しています。「交通」をテーマにした際は、パトカーのシルエットを見せたり、交通に関する本を取り揃えたりと、 子どもたちが自由な発想で主体的に遊べるような環境作りに重点を置いた遊びの場を提供しています。ほかに「家族」や「植物」など、成長段階に合わせた多様なテーマを決めていますが、最も心掛けていることは、大人側からの押し付けにならないこと。 あくまで主役は子どもです。遊びを通じて子ども独自のルール作りや、協調性、社会性を身に付け、子どもたちがいかにスムーズに小学校生活へと入っていけるかを、保育の最終目標に据えた特徴ある保育を実践しています。
ドンブラっこ2017年夏号 より転載
<おしえて、子どもの心の育て方〜倉敷市私立保育園の先生からアドバイス一覧>