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子どもの健康相談室 by ドンブラっこ

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発達障害について vol.1 〜ほしあい心療内科

通常の育児ではうまくいかないことがあるという「発達障害」。周囲の理解や日常の工夫など、本人がより良い生活を送るために必要なことを専門の先生にお聞きしました。

今後全4回のシリーズで連載します。

 


発達障害について 理解を深めよう

 

子どもの発達障害って何?

どんな種類があるの?

 

発達障害は、「自閉症スペクトラム障害」「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」「知的障害」の三つの側面を持つ、発達の遅れが見られる障害です。  「自閉症スペクトラム」は、コミュニケーションに困難さが伴う障害で、発語や言葉の発達が遅い、集団行動ができない、人の気持ちを読めないなどの特徴があり、その困難さは比較的軽いものから重いものまで人により違いがあります。 「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」は、落ち着きのなさや忘れっぽさ、話をきけない、片付けることができないなどの特徴があります。年齢相応の行動が難しく、支援が必要となります。 「知的障害」は、何かが不得意というのではなく、知的な発達が全体的に低い状態で、これにも様々なレベルがあります。 この三つは、かつてはそれぞれが独立したものと考えられていましたが、2013年にアメリカのDSMー5という診断基準が改定され、自閉症とADHDの併存など、複数の障害を併せ持つ人がいることが認められるようになりました。現在は、子どもがこの三つの方向性の、どの位置に該当するかをマッピングする手法で診断がなされます。  症状は軽いものから重いものまで連続して存在しており、どこからが障害なのかという判断は難しいものの、「本人が生活しにくい」「親が育てにくさを感じる」などがひとつの目安になると考えられています。

「自閉症スペクトラム障害」「注意欠陥・多動性障害」「知的障害」の三つの種類がある

※写真はイメージ

 

 

障害に気づくきっかけは

言葉、運動機能、社会性

 「もしかしたら発達障害なのでは…」と親が気づくきっかけになるものとして、まず言葉があります。そろそろ言葉を使い始める頃なのに言葉が全く出てこない、二語文(単語と単語をつなげて話す幼児言葉「ママ、だっこ」など)にならないなどの症状が現れ、1歳半検診などの際に指摘されることがあります。 次に気づくポイントは運動機能です。 歩き出すのが遅い場合もあれば、服を上手に着られないなど、生活する上で不器用さが現れる場合もあります。三つ目のポイントは、社会性です。親と親以外の人を区別せず人見知りをしない、人を物のように扱う、視点が合わないなどの特徴 が見られることがあります。また、そのほかにも肌触りに敏感で洋服は同じものしか着ない、こだわりが強く融通がきかない、感情的でかんしゃくを起こすなどの特徴が見られることがあります。

 

 

 

本人も親も楽になる

落としどころを見つけよう

 こうした子どもに接する時、大切なのは「否定しない」ということ。親も周囲も、その愛情ゆえにできないことができるようにという指導をしてしまいがちです。 しかし、まずは得意なこと、好きなことを見つけましょう。発達障害の子は自分の発達段階が生活に追いつかない環境にいるので、できないことを無理にやらせようとしない工夫も大切です。 時には生活場面を制限することも必要かもしれません。自分はダメだという経験を繰り返して生きるエネルギーを小さくしてしまうより、まずその子のエネルギーをフルに育てて太い幹を作ることが先決。 困った行動をやめさせようとするのではなく、楽しめる場面を考えてゲームとして取り入れるなどの逆転の発想が、育てにくさから脱却する鍵となります。  とはいえ、毎日のことだけに親が感情的に怒ってしまう場面もあるはずです。子どもは、なぜ怒られたのか理解していないことも多いので、少し時間を置いてお互いに落ち着いているときに説明してあげましょう。 本人も成長するにつれて、他の子との違いに気づき始めます。そんなときは、「あなたには得意なことと不得意なことがあるから、どうやったらうまくやれるか一緒に考えよう」とアプローチする方法もあります。 この時大切なのは、親自身が頑張りすぎたり、追い詰められたりしないこと。困ったなと思ったらひとりで抱えずに、発達障害に理解のある医師や保育園、特別支援学級の先生、保健所に在籍する母子担当の保健師か児童相談所などに相談してみてく ださい。

まずは子どもの好きなこと、得意なことを見つけることが大切 

※写真はイメージ

 

 

星合 雅彦 先生

岡山大学医学部卒。ほしあい心療内科院長。

児童多機能型事業所「雨上がりの夜空に」で児童・思春期の支援も実施

 

DATA

ほしあい心療内科

岡山市北区今2-7-1 2F

TEL.086-250-7367

[診]9:30~12:30 15:00~18:00

※土曜日午後のみ13:00~16:00 

往診応需

[休]木曜、日曜、祝日

[P]共有あり

 

ドンブラっこ 2017年夏号(vol.6)より転載