3回にわたり、「発達障がい」について、専門医にお話を伺ってきました。シリーズ最後となる今回は特別編として、心療内科医が運営する療育施設の様子をご紹介します。
特別編 支援施設
児童多機能型事業所で行われている療育
子どもたちが安心して過ごせる居場所づくり
ほしあい心療内科が運営する「雨上がりの夜空に」は、児童多機能型事業所です。児童多機能型事業所とは、主に小学生以上の障がい児を対象とする放課後等デイサービスと、未就学の障がい児を対象とする児童発達支援の両方を兼ね備えた事業所のこと。「雨上がりの夜空に」は、思春期外来を専門とする医師が管理者として運営しており、より高度で専門的な療育の実現を目ざしています。
この施設を作った目的のひとつは、発達障がい傾向のある子どもたちの居場所づくりです。幼稚園や学校と家との間に、習いごとでも何でもよいので、自尊心を満たすことができ、自分が社会的役割を果たしていると実感できる場所をもっていることが大切です。幼稚園や学校が苦手な子どもたちにとって「ここに来れば楽しい」と、安心して過ごせる場所でありたいと願っています
集団療育を通して人との関わり方を訓練
当施設では、お子さま一人ひとりに合わせた完全オーダーメイド型の療育を行っています。言葉が出にくいようなら言葉の訓練を、はさみが使えないならはさみの訓練をするなど、生活能力の向上や学習支援、情緒の安定、集団生活への適応のために、その子どもにとって必要な訓練を行っています。
子どもたちが来所すると、未就学児では個別療育を行ったあと、自由遊びをします。小学生では、学校の宿題をしてから個別療育、集団療育となります。集団療育は、トランプや鬼ごっこなど「みんなで」何かをすることを重視しています。SST(ソーシャルスキルトレーニング)の一環として実施しており、「相手はどう思っているかを意識する」など、友だちとの関わりのなかで、どう振る舞うかを実地で訓練しています。小学校入学を見据えた5歳頃から、少しずつ集団療育を始めていきます。
専門的アプローチで家族まるごと支援
「雨上がりの夜空に」は、管理者である心療内科医のほか、療育のスタッフも、臨床心理士、保育士、精神保健福祉士、学校教諭など、専門の資格・経験を有しています。発達障がいに対してそれぞれの立場で専門的にアプローチすることで、専門的な療育の実現はもちろん、子育てするうえでの悩みや疑問をご家族と共有し、ご家庭でのストレスや負担を軽減することを目ざしています。
有名な歌から名付けた「雨上がりの夜空に」という施設名ですが、雨上がりの夜空に広がる美しい星のように、一人ひとりの子どもたちが「大丈夫!」という安心感をもって輝けるように支援していきます。
この施設を利用したい場合、どうしたらよいですか?
まずは、ほしあい心療内科の受診をおすすめします。受診していなくても、ご利用いただけますが、その際にはお電話にて来所・面談の予約をお願いします。「雨上がりの夜空に」のご利用には、受給者証が必要となります。受給者証をお持ちでない方は市区町村窓口へ利用申請を行ってください。
当施設について、詳しくはホームページをご確認ください。
倉敷での児童発達支援センター利用
星合 雅彦 先生
岡山大学医学部卒。ほしあい心療内科院長。
児童多機能型事業所「雨上がりの夜空に」で児童・思春期の支援も実施。
DATA
ほしあい心療内科
岡山市北区今2-7-1 2F
TEL.086-250-7367
[診]9:30~12:30 15:00~18:00
※土曜日午後のみ13:00~16:00
往診応需
[休]木曜、日曜、祝日
[P]共有あり
ドンブラっこ 2018年夏号(vol.10)より転載