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倉敷から夢、発信「倉敷人」シリーズ12 杉山昌和

For you with Kurashiki

戦国の世から愛される蜻蛉玉は「粋」を感じさせるガラス芸術。 普段使いの中で、さりげないお洒落心を満たしてくれる。

ベーシックな戦国紋様の蜻蛉玉(イヤリング)

 新緑の眩しい四月下旬。倉敷市亀山にある「倉敷とんぼ玉工房MABO」を訪ねた。自宅の一室で創作活動を続ける杉山昌和さんは、5年前までは整備士としてキャリアを積んだエンジニア。しかし、長く趣味で取り組んで来たガラス細工を生業とする道を選び、現在は蜻蛉玉をメインとする作家業にいそしんでいる。  昭和33年生まれの杉山さん。幼少からものづくりが好きで、木や紙などの原材料を探してきては車や船などに加工するソリッドモデルに傾注。その後、二十代はステンドグラスに惹かれたらしいが、神戸で蜻蛉玉と出会ったことが大きなきっかけとなり、作家へと転進を果たした。

チョーカー(銀化曜変玉)

杉山さんが、今もっとも力を入れているオリジナル作品のひとつ。黒のガラス棒がメタリック状に変化する瞬間にクリアガラスを載せることで、複雑な紋様と透明感が際立つ作品に仕上がる。

古くは中国から伝わり、戦国時代には武将の「根付け」として用いられた蜻蛉玉。江戸時代の贅沢禁止令で一時期廃れたが、明治になって復活。帯留めや根付けといった和服のアクセントとして少しずつ裾野を広げ、現在は「粋」を表現出来るアクセサリーとして人気を博している。 「以前はデッサンしてから制作に取り掛かったが、今は頭に思い浮かんだものを即興で形にします。ガラスが溶けてコントロールが難しいのも魅力」と、ものづくりの奥深さに刺激を受け、創作の幅を広げる日々だ。

さて、倉敷で生まれ育った杉山さんにとっての故郷は「美術や工芸に理解の深い町」。自らが実行委員を務める「Made in Kurashiki inくらしき」も回を重ね、来場者の方とコミュニケーションを重ねながら作品を手に取っていただくことで、蜻蛉玉の魅力も浸透しつつある。 「これがマボの作品というものを作るのが今の目標」という杉山さん。体験教室を通して多くの方に蜻蛉玉の魅力を伝えつつ、さらに輝きを増しながら創り出されるオリジナル作品に、今後、ますます期待したい。

History

倉敷とんぼ玉工房MABO
  • 倉敷市出身。
  • 2012年 3月 会社勤めに終止符を打ち、倉敷とんぼ玉工房MABOを立ち上げる。
  • 同年6月 made in kurashiki in くらしきに参加
  • 2013年3月 ノリタケの森グループ展参加
  • 同年10月 倉敷みらい公園・高梁川マルシェ参加
  • 以降、回を重ねながら作品の幅を広げ、現在に至る。

倉敷とんぼ玉工房MABO
倉敷市亀山874-2 Tel.090-2800-7111
問い合わせ時間10:00~17:00
休なし(不定休)

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